初心者の為のiDeCo基本知識とおすすめの運用方法

iDeCoをご存じでしょうか?


多くの方が聞いたことあるけど、だけど詳細の中身までは理解していないといった感じではないでしょうか。



その理由は少し複雑な制度だからではないかと推測します。



今回、このiDeCoの制度を出来るだけわかりやすく、まとめてみました。



なぜなら、老後の年金が不安という悩みを抱える日本人にとって、iDeCoは救世主になるからです。



iDeCoを使えば、1,000万円~2,000万円の老後資金を準備することは、決して不可能ではありません。



なぜならiDeCoは、老後資金、いわゆる「じぶん年金」を作るにはピッタリの優遇制度と言えるからです。



ですので、iDeCoのことをまだ理解できていない、活用すらしていない人はこの機会にぜひ検討してみて下さい。



今少しの時間を使って勉強しておけば、将来の老後でお金に困るリスクが大きく減ると思えば読む価値があると思いませんか?


この記事からは以下を学んで頂きます。

1.iDeCoって何? 制度概要とその特徴

2.IDeCoのメリット・デメリット

3.iDeCoの老齢給付金で税金を最安にする方法

iDeCoの制度概要

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国の年金とは別に、自分で老後資金を作るため私的年金制度です。



毎月掛金を積み立てて投資運用し、積み立てた資金や運用益を60歳以降に受け取ることが出来ます。



基本60歳より前に受け取ることは出来ませんが、その運用で得た利益は非課税だったり、掛け金が全額所得控除されたりと大きな恩恵を得ることが出来ます。



掛け金が全額所得控除される時点で絶対使うべき制度だとご理解頂けると思います。



景気悪化や少子高齢化により年金や退職金が減少していることを背景に、自営業者や企業年金のない会社員の為に導入されたことが背景です。



但し、加入が必須とる公的年金とは異なり、加入する・しないは自分で決めることが出来ます。

iDeCoの特徴

①iDeCoは20歳~64歳まで加入できる

原則、65歳まで(20歳~64歳まで)の人なら加入できます。



以下のようなケースでは加入できないので、注意が必要です。

  • 国民年金を支払っていない
  • 海外に住んでいる ※国民年金に任意加入している場合は加入可能
  • 企業年金があり、iDeCoの加入を認めていない会社に勤めている
  • 農業年金に加入している

②投資商品は「投資信託」と「元本確保型商品」の2種類

iDeCoは、「投資信託」と「元本確保型商品(定期預金・保険)」の2種類から、運用する商品を選べます。



投資信託のみ、あるいは元本確保型のみにすることも、両方を組み合わせることも可能です。



その際は、投資信託と元本確保型のメリット・デメリットを把握した上で決めましょう。

③掛金は月額5,000円から設定可能

iDeCoは月額5,000円から投資でき、5,000円以降は1,000円きざみで金額を設定できます。



下限額が5,000円からと負担も少なく、「もっと掛金を増やしたい」場合に金額の調整をしやすいのが特徴です。



ただし、掛金は職業によって上限額が定められているので注意が必要です。

平成30年3月時点での掛金平均は16,222円だそうですよ!



ちなみに、iDeCoの財産は、差し押さえ禁止です。(国税の滞納による差し押さえを除く。)



自営業者や経営者が事業に失敗して借金を背負っても、iDeCoで作った財産を第三者に取り上げられることはありません。



つまり、iDeCoは超安全な資産の置き場所であり、おすすめな公的制度の1つと言えます。

iDeCoのメリット

メリットのまとめ

①運用益が非課税になる
②掛金が全額所得控除される
③受取時に一定額が非課税になる
④転職や退職の際に年金資産を持ち運べる
⑤運用の手間が少ない

メリット①運用益が非課税になる

iDeCoの運用益は、全て非課税になります。



iDeCoは老後に向けて、定期預金や年金保険、投資信託を運用して利益を得ることができます。



定期預金の利息や投資信託の運用益には通常20.315%の税金がかかりますが、iDeCoでは全て非課税になります。

メリット②掛金が全額所得控除される

iDeCoは、掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税を軽減することができます。



税金を減らし、その分を将来の資産に出来るのは大きいですよ。

なお、軽減される金額は、課税所得によって変わります。

例:課税所得450万円・毎月の掛金1万円の場合の軽減額

1万円/月×12ヶ月=12万円

・所得税:
 12万円×20%=24,000円

・住民税:
 12万円×10%=12,000円


 24,000円+12,000円=36,000円の課税を軽減できることになります。

自営業の場合は確定申告、会社員の場合は年末調整で所得控除の申告をすることで、所得控除が受けられます。

メリット③受取時に一定額が非課税になる

運用が終了すると、以下の受取方法が選択でき、受取方法によって控除(=課税対象から除外)の種類が異なります。



普通は退職金の収入金額から一律で20.42%の税金が取られます。

一括(一時金)受取の場合

一括でお金を受け取る場合、退職所得控除が受けられます。



退職所得控除の計算方法は以下のとおりです。

勤続年数   退職所得控除
20年以下 40万円 × 勤続年数※最低80万円
20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
例:確定拠出年金の積立期間が30年だった場合の控除額

800万円 + 70万円  × (30年 - 20年) = 1,500万円

分割(年金)受取の場合

分割でお金を受け取る場合、他の公的年金等の収入合計額に応じて控除が受けられ、控除額を差し引いた額の5.105%が源泉徴収されます。



その後、確定申告で税額を精算することになります。



公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法(公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合)は以下のとおりです。



<①年金を受け取る人の年齢:65歳未満>

公的年金等の
収入合計額
割合控除額
60万円まで税金がかかりません
60万円超~
130万円未満
100%600,000円
130万円~
410万円未満
75% 275,000円
410万円~
770万円未満
85% 685,000円
770万円~
1,000万円未満
 95%1,455,000円
1,000万円以上 100%1,955,000円

<年金を受け取る人の年齢:65歳以上>

公的年金等の
収入合計額
割合控除額
110万円まで税金がかかりません
110万円超~
330万円未満
100%1,100,000円
330万円~
410万円未満
75% 275,000円
410万円~
770万円未満
85%685,000円
770万円~
1,000万円未満
95%1,455,000円
1,000万円以上 100%1,955,000円
例:65歳未満で、公的年金等の収入合計額が200万円の場合の課税対象額

200万円×75%-27万5千円 = 122万5千円

メリット④転職や退職の際に年金資産を持ち運べる

iDeCoには転職時や退職時に、それまでに積立をした年金資産※を持ち運べるメリットがあります。
※企業型確定拠出年金(DC)・厚生年金基金・確定給付企業年金(DB)など



例えば、前職で企業型確定拠出年金(DC)に加入していた場合、以下のケースのいずれかに当てはまるとiDeCoに移管することができます

企業型確定拠出年金(DC)をiDeCoに移管できるケース

・企業型DCのない会社に転職した

・退職してしばらく求職活動を行う

・退職して専業主婦(夫)になる

・公務員や自営業者になる

また、確定給付企業年金(DB)のある会社員だった場合も、iDeCoに資産を移すことが可能です。



ただし、その場合には「退職時に一時金を受け取る権利を持っている」必要があり、すでに年金受給権があると、iDeCoへ年金資産を移管できません。

メリット⑤運用の手間が少ない

運用の手間が少ない点もiDeCoのメリットです。



株式投資の場合、購入の度に自分で注文する必要があります。



しかし、iDeCoの場合、掛金は口座引落しや、給料からの天引きによって積立されます。



ただし、相場の変化によって商品の価格が大きく変動することもあるため、少なくとも、年に一度は運用状況をチェックしましょう。



なお、iDeCoは掛金の変更や運用商品の変更・スイッチング(投資済みの商品の一部を売却して現金化し、その資金を元に他の商品に投資する)もできます。



運用状況を見て、物足りないと感じる場合には掛金や運用商品の変更も検討するとよいでしょう。

iDeCoのデメリット

まとめ

①原則として60歳まではお金を引き出せず途中解約もできない
②加入年齢が65歳未満と決められている
③運用できる商品の種類が限られている
④手数料がかかる
⑤受取時には原則課税される

デメリット①原則として60歳まではお金を引き出せず途中解約もできない

iDeCoは、原則として60歳になるまでお金を引き出せず、途中で解約することもできません。



iDeCoの目的は老後に備えて貯蓄することなので、簡単に解約できないようになっているのです。



ただし、一定の条件を満たした以下の場合にのみ解約が認められます。

・加入者が死亡した場合
・加入者が高度障がい者となった場合

また、60歳になり、お金を引き出す段階になった時にiDeCoの加入期間が10年以上あるか注意しなければなりません。



10年以上あれば60歳になった時にお金を引き出せます。



しかし、そうでない場合には加入年数に応じて受け取り開始年齢が段階的に後ずれし、最も遅い場合には引き出せるのは65歳からとなるので注意が必要です。

デメリット②加入年齢の上限が65歳未満と決められている

iDeCoの加入資格は20歳~64歳の方までに限られ、65歳以上の方は加入できません。



2022年5月に加入年齢が引き上げられるまでは、60歳未満が加入できる年齢でした。



そこから加入年齢は引き上げられましたが、いずれにせよ上限があることには注意が必要です。



なお、iDeCoと同じく、運用益が非課税となるNISA制度には、加入年齢の上限はありません。

デメリット③運用できる商品の種類が限られている

<iDeCoで運用できる商品>
・投資信託
・定期預金
・保険商品

上記3種類の中から選ぶ為、よりハイリスク・ハイリターンな商品を運用して資産形成したい人には不向きです。



もし、ハイリスク・ハイリターンな商品を非課税で運用したい場合、NISAを使って下さい。

デメリット④手数料がかかる

iDeCo(イデコ)の手数料は、加入手数料、口座管理手数料、信託報酬の3種類。



加入手数料は2829円、口座管理手数料は月額171円が最低額であることを押さえておきましょう。



口座管理手数料の安い金融機関を選ぶことが重要。



高い金融機関と比べて30年後には11万円以上の差がつくこともあります。

デメリット⑤受取時には原則課税される

iDeCoは受取時には原則課税されるため、必ずしも税金がかからないものではありません。



一定額は非課税になりますが、全額非課税にはならないということですね。



特に齢給付金の場合は、年金と一時金どちらで受け取るかで、税金の額が大きく変わります。



障害給付金や死亡一時金と違って、判断を誤ると、100万円~200万円もの大金を損する可能性もあります。



そこで、税金をなるべくおさえて受け取る方法を以下で学んでいきましょう。

◆iDeCoの老齢給付金で税金を最安にする方法

最初に結論をお伝えします。



iDeCoを老齢給付金として税金を安くおさえながら受け取るには、以下の2段階の方法がおすすめです。

<iDeCoの老齢給付金で税金を最安にする方法>

①退職所得控除の範囲内で、一時金として受け取る。
②残額があれば、公的年金控除の範囲内で、小分けに年金として受け取る。

厳密には、iDeCoの受取額・加入年数、勤務先での退職金の有無・勤続年数、公的年金受給額などによって前提が違うので、その都度判断が必要です。



しかし、税金を最安におさえる基本的な考え方は、「退職所得控除をフルに使い切ること」、「公的年金控除を使い切ること」の2つです。



あらためて、老齢給付金の基本を整理します。



iDeCoは、掛金を拠出した時は所得控除になるので節税になりますが、お金を受け取る時は所得になるので課税の対象です。



しかし、iDeCoの受け取りには以下のような優遇制度があります。

・一時金:退職所得扱いにできる(退職所得控除を認める)
・年金:雑所得扱いにできる(公的年金控除を認める)

退職所得控除

iDeCoを一時金として受け取ると、退職所得として扱われます。



退職所得には、退職所得控除という優遇制度があり、以下の金額を控除できます。

退職所得控除の計算

勤続年数が20年以下
→ 勤続年数(iDeCoの場合は加入年数) × 40万円

勤続年数が21年以上
→ 20年を超えた1年につき、さらに70万円ずつ控除額が増える

仮に、皆さんが20年かけてiDeCoで1,000万円の資産を作ったとします。



その場合、20年 × 40万円 = 800万円の所得控除が認められます。



もともと1,000万円に対して税金がかかるはずだったのに、iDeCoのおかげで800万円の所得控除が使えるため、200万円にしか税金がかからなくなるのです。



さらに言えば、退職所得は、退職所得控除を引いた後の金額に、1/2を掛けることになっています。



つまり、今回の例における最終的な課税所得は100万円(200万円 × 1/2)です。

上級編:勤務先からの退職金も考慮する場合

会社員や公務員の場合、自分で作ったiDeCoという老後資産の他に、勤務先からの退職金があるはずです。



なお、フリーランスは小規模企業共済に入っていれば、それが退職金扱いになります。



以下がその条件となります。

  • iDeCoと勤務先の退職金を同時に受け取ると、退職所得控除の枠を2回使えません。
  • しかし、受け取る順番と経過年数によっては、退職所得控除の枠を2回使えるのです。
退職所得控除を2回使える場合

勤務先の退職金の後に、iDeCoを受け取る場合:15年後からOK
 例:60歳で勤務先から退職金を受け取って、75歳でiDeCoを受け取る。

・iDeCoの後に、勤務先の退職金を受け取る場合:5年後からOK
 
例:60歳でiDeCoの一時金を受け取って、65歳で勤務先から退職金を受け取る。

上記以外の場合は、1つの退職所得控除枠をiDeCoと退職金で共有してしまうため、2回使えません。

公的年金等控除

先ほどのケースのように、iDeCoの一時金が1,000万円で退職所得控除の800万円を上回っている場合、「節税効果はあるけれど、課税もされるのか…」と感じた人がいるかもしれません。



そんな時は、公的年金等控除を選択肢の一つに考えてみましょう。



iDeCoを年金として受け取る場合、雑所得扱いになります。



退職所得に、退職所得控除が認められているように、雑所得にも公的年金等控除が認められています。

公的年金等控除

65歳未満:年額60万円までの年金が非課税

65歳以上:年額110万円までの年金が非課税

65歳以上から受給できる国民年金は満額で約80万円なので、iDeCoの受取額を年額30万円未満にすれば、合計で年額110万円におさまります。



特に、自営業者・フリーランス・専業主婦の人は、ぜひ覚えておきましょう。



一方で、厚生年金に加入している会社員や公務員は、国民年金と厚生年金で平均受給額が年額約170万円あるので、iDeCoを年金として受け取ると課税される人が多いでしょう。

◆iDeCoの活用をお薦めする人・しない人

お薦めする人

  • 安定した収入があり、資金に余裕がある人
  • 退職金がない、あるいは少ない人
  • 貯金が苦手な人

iDeCoは安定的な収入があり、資金に余裕がある人におすすめです。



老後資金を強制的に貯めることが出来ることはメリットです。



貯金が苦手な人はやりましょう。

そもそも非課税になる・税率が低くなるなど、税金面で有利になるのは間違いないので資金に余裕がある人でやっていない人はすぐに始めましょう。



有名な投資家達がiDeCoとNISAは投資をする上での基本中の基本だと言っている所以です。

お薦めしない人

  • 運用中に資金を自由に引き出したい人
  • 貯金や余剰資金がない人

iDeCoは運用中に資金を自由に引き出したい人にはおすすめしません。



原則として、60歳まで資金を引き出すことができないからです。



引き出し自由度の低さから、貯金や余剰資金がない人にもおすすめしません。



十分な貯金や余剰資金があれば特に困ることはないかもしれませんが、そうでない場合は資金繰りに困ってしまうでしょう。

NISAとの併用がおすすめ

NISAであれば、iDeCoと同じく運用益を非課税にでき、かついつでも資金を引き出すことができます。



NISAで「いざとなったら引き出したい金額」、iDeCoで「老後資金用に絶対に手を付けないと決めた金額」を投資すると良いと思います。



どちらも非課税なので資金に余力がある人は両方の制度をしっかりと使いましょう。



この2つは投資をする上で使うべき基本なので投資する方は必ず使って下さいね。

まとめ

本日はiDeCoの①制度概要とその特徴、②メリット・デメリット ③iDeCoの老齢給付金で税金を最安にする方法 について説明させて頂きました。



①まず制度概要とその特徴は以下の通りです。

①制度概要と特徴

・iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、国の年金とは別に、自分で老後資金を作るため私的年金制度

・毎月掛金を積み立てて投資運用し、積み立てた資金や運用益を60歳以降に受け取ることが可能

<特徴>

①iDeCoは20歳~64歳まで加入できる

②投資商品は「投資信託」と「元本確保型商品」の2種類

③掛金は月額5,000円から設定可能


次に②メリット・デメリットのまとめです。

②メリット・デメリット

【メリット】

 ①運用益が非課税になる
 ②掛金が全額所得控除される
 ③受取時に一定額が非課税になる
 ④転職や退職の際に年金資産を持ち運べる
 ⑤運用の手間が少ない


【デメリット】

 ①原則として60歳まではお金を引き出せず途中解約もできない
 ②加入年齢が65歳未満と決められている
 ③運用できる商品の種類が限られている
 ④手数料がかかる
 ⑤受取時には原則課税される

最後に税金を最安にする方法です。

老齢給付金の受け取りで税金を最安にする方法

1.「勤務先退職金」と「iDeCo一時金」の受け取り時期を調整して、退職所得控除を2回使うことで、枠を使い切る

2.残額があれば、公的年金控除の範囲内で小分けにして、年金として受け取る。

老齢給付金で税金を最安にするために重要な数字

1)退職所得控除の計算方法

  • 20年以内:勤続年数 × 40万円/年
  • 20年超:800万円 + 70万円/年 × (勤続年数ー20年)

 2)必要な経過年数

退職所得控除を2回使う方法

  • 勤務先の退職金の後に、iDeCoを受け取る場合:15年
  • iDeCoの後に、勤務先の退職金を受け取る場合:5年

 3)公的年金等控除

  • 65歳未満は年額60万円
  • 65歳以上は年額110万円

iDeCoの制度を理解して活用している人とそうではない人では老後資産に大きな差がでることは間違いありません。



これからは人生100年時代と言われます。



健康でいることが幸せに過ごす大前提ですが、生活するためにはある程度のお金があった方がいいのは間違いありません。



将来に向けて今動いて、快適な・安心できる生活を手に入れましょう。

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